企画制作部門についてはどの作品も企画された時に想像された以上の作品になった。中でも企画から脚本そして映画となった時に特に最も飛躍した作品が受賞する結果となった。「おちょんちゃんの愛と冒険と革命」は企画から脚本への過程でも荒唐無稽で間違えば失敗してしまう危うい題材だったが、展開の早さとアイディアに満ちた細部の展開で十分に飛躍したものになった。そこには自主制作らしい身軽な撮影スタイルが大きな要素であったこともあるだろう。
男優賞の「堤防は洪水を待っている」は、優れた俳優信国輝彦を得て、監督の前作の映像に重心を置いた作品づくりから一歩踏み出し、説明不足の感もあったが具体的な「物語」を語らんとした意志が強く感じられ、映像が全面に出た作品であるにもかかわらず信国氏の繊細な演技が大きく作品を支えたことは明らかであろう。
女優賞を受賞した「赤い束縛」は、抽象的で文字ではどうしても観念的に見え説明しがたく、議論を呼んだ題材だったが、完成した作品は技術的な助けもあり、企画・脚本の段階では不明だった部分が後半得に女優・平原夕馨の力によって持ち上がり成果となっていた。
オープン・コンペ部門で最優秀賞となった「雨池十八丁目の淵の中」は一見抽象的な世界観でありながらすべての総合的な要素のバランスが取れていた。そしてこの作品も主演女優の新井美穂が女優で魅せることを証明した。
オープン・コンペ奨励賞の「ラヴ・ジャパン」は物語の展開の意外性だけではなく特異なキャラクターを主人公にしたことが大きな理由である。そして「月がとっても青いから」は複数の登場人物を明解さと丁寧な構成で見せてくれた。
|