第1次審査に際しての全般的講評
企画制作部門応募作41本の、10本への絞りこみに当っては次のような観点から審査作業を進めた。
審査の前提として、完成された才能ではなく、これから創ろうとする応募者の意欲をできるだけ汲みとる姿勢でのぞんだ。
1.“企画意図”からは、まずその意図が今という時代のどの辺りでクロスし、客観性を
持っているかを文面から探ろうとした。
2.“作品のストーリー”については、“物語”が成立しているかどうか、発端と展開、
そしてその帰結について、書かれたものの背景までをさかのぼって詳しく読み取ろう
とした。
但し、必ずしも“物語”が成立していなくとも一点の面白さがあればその成立の可能
性もありとした。
3.そして、企画書と併せて提出していただいた“過去の代表作品”を参考に、応募者の
像像リテラシーについて一定程度チェックした。自然主義的なリアリズム映像はほと
んど見当らなかったが、“メタ映画”までの意図はなくとも、自ずと身につけたであ
ろう“映画眼”、“映画愛”などに基づく映像の魅力があるかどうかを推察した。
参考作品は“制作企画書”という文面からは理解し難い創り手としての能力を測定す
るのに役立った。
4.全体的な印象としては、大略次のように応募内容をジャンル分けすることができる。
(1)モラトリアム世代の恋愛映画
(2)SFX風近未来オカルト映画
(3)テロル時代反映の青春ホラー映画
(4)リアリズムベースの家族愛(憎)ドラマ
以上のジャンル分けはあくまでも当方の勝手な分類ではあるが、ほぼこれに当てはめて
しまえる程のレベルの企画書が多かったという問題も指摘せざるを得ない。但し、その
レベルを鞍部で見切りをつけるのではなく、できるだけ可能性にかけ、それぞれの才能
を高めに引き上げて評価するように努めた。
5.上記内容に即した判断と平行して、応募者の制作体制、特にスタッフワークとキャス
ティングとその準備の程度について考慮した。今回は、できれば本年中遅くとも1月
初旬完成という厳しいスケジュールの中、当方で準備し得るバックアップ体制も勘案
してトータルに判断した。
企画制作部門制作監督最終選考の総括
今回の選考の過程では、CO2主催者サイドも多くのことを学んだ。
1.応募者の多くはこれまでの“一人映画”から何人かの仲間による“ミニ集団製作”
まで、それぞれの条件に見合った制作監督で制作に臨んできたこと。
2.今回の助成金を機会に、たとえ小規模であれキチットしたスタッフを組み、できれ
ばキャストについてもオーディションをやって一歩前へ進みたいと望んでいること。
3.そのためにも、今回は企画内容については自分の限界を乗り越え挑戦しようとした
こと。
以上のような流れを踏まえ選考委員会による選考のプロセスにヒアリング作業を加え、応募者一人一人の企画内容についてはその“高み”で判断しようとした。
監督、プロデューサー、上映、興業映画、映像等の専門に関わる選考委員それぞれならではの切り口であらゆる角度から検討をすすめた。
特に、“オリジナル劇映画”の前提となる“物語”の有無、その“表のストーリィ”を支える“裏のストーリィ”の用意、さらにはその表裏合せたドラマの展開が観客の想像力をどうプッシュし、どうプルしようとしているのか、その仕掛けについてまでさかのぼって議論した。
多分、このつくり手と観客との表現の上での駆け引きこそが映画が「売れる映画」として成り立つための一番の要件だと考える。
勿論、応募企画の多くがこの要件を満たしていたとは云い難いとしても、それだからこそCO2が用意した「制作支援システム」によって一緒になって、今後の課題に取組んでゆきたいと考えている。そして、その分だけ責任の一半を荷負う覚悟も決めている。 |